2022年9月のある日、
わたしの右胸の上の方にぷっくりとした
膨らみのようなものを感じた。
コリコリしているというよりも、
ぷっくりと何かが水ぶくれのように
盛り上がっているように思えた。
「これ、粉瘤ができる前兆かな・・・
しばらく様子を見て皮膚科に行こう」ぐらいに
軽く考えていた。
「これはしこりでは?」なんて
全然思わなかったし、疑いもしなかった。
わたしのからだは、粉瘤(=アテローム)という
ぷくっと膨れたおできのような
良性の腫瘍ができやすく、皮膚科で
何度も治療してきた。
だから、このぷっくりとした膨らみも、
それに違いないと思っていた。
その日から毎日、お風呂に入る時、着替える時など
ぷっくりとした膨らみを触り、
以前、粉瘤の治療のためにもらったぬり薬を
塗ったり、大きくなっていないか、
痛みがないか、化膿し始めていないか、
臭いは出てないかなど、
この膨らみが『粉瘤』であると
思い込んだまま観察していた。
初めて右胸の上の方にぷっくりとした膨らみを
見つけて2週間程経ったある日、
「右胸の上の方に、粉瘤みたいな
おできができてるの。
でも、粉瘤にしては、サイズが大きいし、
形もいつもとなんか違うような気がする・・・」
と・・・母に打ち明けてみた。
母は「それ、粉瘤なの?」
「勝手に判断するんじゃなくて、
早く病院へ行きなさい」と言った。
わたしは、定期的にかかりつけ医を受診している。
ちょうど受診するタイミングだったので、
相談してみた。
わたしのかかりつけ医は内科医のDr. M、
わたしのからだ全般を相談できて、
いつも的確なアドバイスをくれる、
とても心強い医師だ。
彼女はわたしを診察ベッドに寝かせ、触診・・・
Dr. M :『これ、粉瘤じゃないわね。最後にお胸の検査をしたのはいつ?』
りぼん :『1年ぐらい前に、健康診断でマンモグラフィしました。その時は、異常なしでした。』
Dr. M :『その時はエコー検査もセットでした?』
りぼん :『いいえ。マンモグラフィだけです。』
Dr. M :『お胸の検査をする時は、マンモグラフィとエコー検査をセットでしましょう。マンモグラフィでは何も写らなくても、エコーで異常が発見される場合も多いから。すぐに専門医を受診して、検査してもらいましょう。紹介状を書くから。』
りぼん :『はい・・・』
4日後に大きな病院の専門医を
受診することになった。
こういう状況になってもまだ、わたしは・・・・
『このおできは粉瘤じゃないかもしれないけど、
良性の何かできものに違いない。
ちゃんと調べてもらって、対処方法を聞こう』
ぐらいにしか思っていなかった。
『にゅうがん』の『に』の字も
わたしの頭にはその時は浮かぶことはなかった。